命の灯
母は日ごとに弱っていく。もう、気力もなくなったようだ。
苦しい、痛い、だけの言葉が口から洩れる。目はずっと虚ろで、焦点はなかなか合わない。
見ている方も辛い、早くうちに帰って安心して眠ってほしい。うちに帰るときっと父に会える。父が近くに感じられるはずだ。大好きな猫も、自分の匂いや好きな服や人形に包まれて楽になってほしい。明後日の退院に向けての話し合いでできるだけ早期を希望しよう。
残された時間に、痛くてしんどいだけで眠ってほしくはない。どうかこの願いが聞き入れられるならお母さん笑ってお別れしよう。お母さんと私は似た者同士で、わかっていても意地を張りあったけれど、お母さんにはもう苦しんでほしくない、残された私はこれからも後悔に押しつぶされるかもしれないけれど、それは私の背負っていくものだから覚悟するよ。
穏やかに話せた日のことを一つ一つ大切に思って行くね。早くお家に帰ろう、お母さん。
